わたしがハリー・ポッターに出会ったのは7歳のときだった。「世界で話題の面白い物語があるらしい」と聞きつけた母が買ってきてくれたのだ。
読み始めるとめちゃくちゃ面白く、続きはないかと母に聞くと一年くらい先に発売されるといわれ、7年しか生きていない当時のわたしにとっては、あまりに先のことすぎて、めまいのような感覚がしたのを憶えている。
それから、毎年のように発売される新刊を楽しみに本屋の平積みの棚を眺める、ということが続いた。魔法ワールドを紹介する副読本もいくつか買って読んだりしていた。小5の時にアメリカから帰国した同級生が不死鳥の騎士団をペーパーバックで読んでいて、あの時ほど誰かを羨んだことはないような気がする。
しかし、歳を重ねるごとにハリー・ポッターへの熱量は下がっていき、謎のプリンスあたりでリアルタイムで追わなくなってしまった。
とはいえ、わたしにとってなにかの「ファン」になる、という体験を最初に与えてくれたのが、「ハリー・ポッター」ひいては「魔法ワールド」だった。
そんな経緯もあり、転職にともなう有給消化期間にやりたいこと、を考えた時に優先度の高い選択肢として上がったのが魔法ワールドを体験できるオープンワールドRPG「ホグワーツレガシー」だった。
わたしは、普段ゲームをあまりしないので、ハマれるか不安な気持ちを抱えたまま、ホグワーツの門を叩いたが、正直、有休消化期間にやりたいことのほとんどは「ホグワーツレガシー 」に蝕まれるくらいに熱中した。
しかし、大人になって改めて魔法ワールドと対峙すると、その世界では、要職の多くが特定の血族で占められており、杖屋のようにインフラ的な職種すら世襲で回っている。いやみな校長はブラック姓で、口うるさいけど寄り添ってくれる副校長はウィーズリー姓、という具合で、血統により階級や役割が固定化されたディストピアであることをしみじみ感じたりもした。
「ホグワーツレガシー」では、さまざまな依頼人から舞い込んだクエストをこなすことでストーリーが進んでいくのだが、名家の依頼人は軒並み嫌なやつで、「ちょっとちょっと、ピンチ=スメドリー家を知らないなんて(笑)」みたいな言葉をぼんぼん投げかけられるのだ。
また、話が進む中で色々な呪文を覚えるのだが、その中には、許されざる呪文もある。許されざる呪文は、3つあり、どの呪文だろうと、人に対して使うと終身刑になる、というくらいに危険なものなのだが、習得するとかなり手軽に使えてしまう。しかし、許されざる呪文を使って敵を倒すと、たとえ味方でも、「許されざる呪文だと?」と叫ばれ、その後も「まさかキミがあんな呪文を使うとはね(笑)」みたいな小言を言われ続けて「いや、わたしはみんなを助けたかっただけだけど!!!」と叫びたくなる。
こういう憤懣やる方なさが闇の魔法使いを生むのかもな……。
と、色々不満はあったものの、ゲーム自体はとても面白く、物語の世界をゲームという形で体験することで、物語に対し、本とも映画とも違う新たな実感を持つことができた。
ホグワーツレガシーを経て、心から思うが、入学したばかりの一年生がウィンガーディアム・レヴィオーサ一本でトロールを倒したの、まじですごい。運が良かったとしか思えない。
— らりを (@pndyk77) 2024年1月13日
しかし、ゲームを始めると読書やら映画の時間が削られてしまうため、上手い距離感でゲームと付き合いたい。
ゲームは一日30分!