「まだ仕事で東京。9時過ぎに出ます。よろしく!」
これは今日19時に母から届いたメールである。ここの9時とは21時のことで、東京に住む母が仕事終わりに車で高速をぶっ放し、突如京都にくるのはこの夏休み、3回目のことである。
母からのメールを見て、夫は「幽霊みたいや……」といっていて、たしかに、と思ってしまった。突然メールで「今あなたの家の前にいるの」をやるのが母である。
還暦過ぎて、東京京都を車でぶっ放し、仕事の合間に数日から1週間、むすめと毎日たっぷり遊ぶ、を繰り返す母はわたしから見ても妖怪じみている。何よりその妖怪じみた体力と愛想の良さだけで、20年間専業主婦をしていたハンデを悠々越え、年収にしてわたしの倍稼ぐキャリアウーマンになっている母は世間一般からみても幻の珍獣のような存在なのだろう。
一方、父と連絡を取っても「先週は出張でロンドン行って一回中国挟んでニューヨーク行ったから疲れたヨHaha」みたいなことを言っているのでこちらもこちらで妖怪やら珍獣じみており、そんな2人から生まれ、育てられたにしてはわたしの人生は平凡すぎるな〜、と思うわけである。
そう思うといろいろ考えてしまうが、わたしはその平凡さに埋もれて生きる心地よさを知ってしまっている。