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絵の中の花

幼少期から家にいるという行為が好きだったが、年齢を重ねるにつれ実家の居心地が悪くなるような感覚があった。それと反比例するように居心地の良さを感じるようになったのが、徳島にある祖父母の家だった。

長年、そのことについては、わたし自身が祖父母のことをすきだからである、となんとなく解釈していた。しかし、祖父が死に、呆けた祖母が施設に入ったがらんどうの祖父母の家を見てみると、寂しさとともに安心感の残り香のようなものがあった。それを放ってるものはなにか、と部屋を見回すと祖母が呆けたあとも身体の癖で面倒を見、残された鉢植えの植物と祖父が飾った絵画の数々があった。わたしの実家には記憶にある限りそうした類のものはなかった。

植物も絵画も、生活には必要ないが、その存在感からはそれらを飾った人にとっての必然をかんじられた。

それから、週に一度、花を買うようになった。

実際に買ってみるとその値段の高さに面食らう。前述の通り、花がなくても生活はできるわけだし、ゆえにそれは資本主義的な価値で単純に測れるものではないが、決して裕福ではないわたしの頭には、それが支払ったコストに見合うものなのだろうか、なんて考えがよぎる。

それでもあと1週間、もうあと1週間、という惰性に近い感覚で花を買い続けて年末年始を迎えた。

そして、今日、むすめが「いえのえ」を書くというので裏紙とボールペンを渡して15分。

絵の完成をつげるむすめの声に引き寄せられると、小さな指で指し示された「いえのえ」には二輪の花が飾ってあった。

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わたしはうれしくて「すごい、すごいね」といった。

するとむすめは得意げに、しかし当然のように、「じゃあ、このえ、かべにかざるね」と言ってマスキングテープでぺたりと壁に絵を飾った。

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