リビングから窓の外を見ると向かいの家の窓から子どもがこちらを覗いている。坊主頭でにこにこしたその子をどこかで見たことがあるような気がする。子どものプールの同級生?と思っていたら子どもがお風呂から全裸でできたのであわてて隠す。
子どもに服を着せていると裏口からおじさんが入ってくる。叫びながら夫を呼ぶ。わたしが叫んでいたらおじさんはいなくなるが、別のおじさんが入ってくる。これを結局3回繰り返し、裏口の鍵をもっとしっかりしたものにしようと思う。今度は玄関がザワザワしている。嫌な予感。
チャイムで起きる。宅配だ。今日は電気毛布が届く日。
箱を開けながら寝室の子どもを呼ぶ。
「いいものが届いたよー!」
電気毛布のスイッチを入れて温まるのをまちつつ子どもは朝のパンを食べる。
ソファにピッタリなオレンジ色の毛布はゆっくりと温まり、子どもがパンを食べ終わるころにはちょうどいい頃合い。
子どもはするりと毛布にくるまると「こりゃ出れんわ」と言いながらマンガを読みはじめる。
夫が洗濯機を底上げして排水溝の汚れを掃除している。わたしは子どもを毛布から引き剥がして習い事に連れて行く。ついでに買ったばかりのadidasのピンクのベロアジャケットをおろす。想像以上に形が可愛く、しかも裏地がしっかりついてあたたかい。
いい買い物をしたなと思いつつチャリをぶっ飛ばす。
子どもを見送って家に戻ると、慌てて出たのでスマホを忘れてしまったことに気づく。家の鍵が開けられず3回チャイムを鳴らす。夫に下水周りの掃除という大変な作業を中断させてしまうため、なるべく申し訳なさそうに縮こまってインターフォンのカメラの前に立つ。
煙草を吸いながらぼーっとしてると電話。歯医者さんから。予約の時間を勘違いしていた。謝りながら5分で行きます!と言って電話を切ってとりあえず煙草を吸い切る。
無事に5分以内に到着して掃除をしてもらう。今日の衛生士さんは掃除がうまく、まったく沁みたりしなかった。
そのことを伝えようと思ったが、衛生士さんはすぐに次の仕事に向かっていってしまった。
ホワイトニングしてもよいかも、と最近思っていて受付で案内をもらう。
どうせすぐ黄色くなるんだろうけど、とか思いながらそれでも歯の白さって大事かも、が勝ってしまう。そのまま子どもを迎えに行く。
家に着くと夫はキッチンにいた。無事に洗濯機の排水の掃除が終わった模様。ありがたい。
子どもと電気毛布にくるまり、ホワイトニングの案内を見ながらリニアハイフとか眉毛のニードル脱毛とか、今やりたい施術と比較する。どうよくなるかとか持続期間とか、それぞれ良さがアピールされているが、そういうのをどんどん見ていくと、どうせいつかは焼かれて灰になるのにどうでも良くね?という考えが降ってわいて急にモチベ0になり、子どもが見ていたHUNTER×HUNTERのアニメに目をうつす。
子どもの頃はクラピカかっこええ、とか思っていたが、大人になって見るとレオリオの良さが光る。資本主義社会のどうしようもなさにあらがいながら、若い才能に打ちのめされながらも努力を重ね、バカにされてもしっかりと年長者として「現実的」なことを伝えている。オトナだ。若いのにすごい。
お昼ご飯を食べながらNetflixをザッピング。ノリでNANAのアニメの一話を見る。わたしが色々と解説する。中学生のわたしにはカッケェ大人だったショートカットの方のNANAだが、大人になってみると恋愛に振り回される子どもだなぁと思う。レオリオの逆。
平日に溜まった生活の後処理をする。衣替えで出た大量の着ない服を古着回収に出すのと子どもの制服のクリーニング。
ついでに手袋が欲しいという子どもの手袋を買いに行く。子どもは少しお腹痛いと言っていたが、一緒に行くと言う。
無事にクリーニングも古着回収も終わったので手袋を見る。シンプルなのがいい、ということで無地のアースカラー3色の手袋セットを買う。親としては若いんだからギャルギャルゴテゴテでいこうや!と思うが子どもはシンプルで落ち着いた色が好きらしい。
買い物が終わって多聞に寄る。Sちゃんと話しつつ仕事。子どもも宿題をする。
子どもがいつも飲むココアを飲みたがらず不穏。
子どもが逃げ若の続きが欲しいと言うので、多聞を出て丸善に向かう。途中高瀬川で子どもが謎の彫刻?インスタレーション?を見つけて叫ぶ。何かのアートイベントらしい。目についたものを眺めつつ丸善へ。逃げ若とウルフの『灯台へ』を買った。江國香織の文庫もパラパラ見たが、棚に戻した。
家というか電気毛布に帰って、ぬくぬくしてから晩御飯。ポークソテー(レタスで巻く)と里芋の唐揚げとごはん。子どもはちゃんと食べたものの途中で喉に詰まらせたりしていて、少し胃腸周りの調子が悪いのかも、と思う。
ごはん後にソファにもどり、仕事しつつ『TAR』を流し見る。子どもはすぐに寝てしまった。かなり面白いぞと思いつつ、わたしも寝る。起きたら11時だった。こういう時の絶望感、やばいよね。