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ちっとも思い出せやしない

夫と『ちょっと思い出しただけ』という映画を見た。

別れてしまった恋人同士のエピソードが、今から過去に向かって描かれた作品で、久しぶりに見るしっかりした恋愛映画。恋愛というものの甘やかさと切なさに一通りうっとりしたわたしたちは、視聴後、互いにもたれかかりながら感想を語った。

この映画では誕生日がさまざまなものごとや記憶を駆動するのだが、よくよく考えてみるとわたしは過去の恋人の誕生日をひとつも覚えていなかった。それなりに付き合って何回か誕生日を過ごした恋人のさえ、すっかり忘れさっていた。夫にこの事実を伝えた上、おそるおそる過去の恋人の誕生日を覚えているかを聞いたら、しばらく考えた末「オレも覚えてない……」と言っていて完全にホラー。わたしたちは自分達には絶対訪れないノスタルジアにうっとりしていたわけである……。こわ

愕然とするわたしを横目に夫は小さく「でもそれってさみしいよな……」と呟いた。

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GWに所属していたサークルに遊びに行ったら集まっている人の中に元カレがいた。付き合っていたのって10年近く前で、記憶は小1の時の親友との思い出、ってくらいおぼろげ。

しかし、みんなで飲みにいくながれになり、酒場でなぜか英語の授業の話になったとき、酔った元カレが急に「あの、なんやっけ、あの、千年前のスピルバーグみたいなひと……」といった。その瞬間に、わたしは「や、それシェイクスピアやろ」とつっこんでいた。

なんというかそれはわかる、とか、理解とかでなく、身についたリズム、って感じで、周りも元カレも、なんならわたしも面食らった。それから元カレが「ま、まぁこのひと普通にぼくのことちょっとわかってるから」みたいなことを言っていて、内心「いやもうなにもわかっていないが……元カレ面やめてくれますか……」とめちゃ思っていた。

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最後にあったとき、わたしのおばあちゃんは、わたしを親戚のおねえちゃんだと思って慕う少女だった。

一緒に写真を撮ろうとすると「おねえちゃんは、こんなにきれいにお化粧して、わたしはこんなんで恥ずかしいわ」と照れていた。それでも、その子が笑いながら話すとき、わたしの背中を叩く手のリズムは、子どもの頃に縁側で私の背中をさすりながら話すおばあちゃんのそれとまるきり一緒だった。