御多分に洩れず「ゴジラS.P」に家族でハマっている。食卓を囲みつつ一話一話大事に見て夫と4歳のむすめと三人でエンディングを歌うまで、いつも最高に楽しい。
好きなSFはたくさんあるけれど、その中でも今の世界とは異なる因果の中での日常を描いた作品が多いとおもう(最近だと『るん(笑)』とか)。そして「ゴジラS.P」もそうした作品のひとつだ。
作中でグッときたシーンはたくさんあるけれど一気に惹きつけられたのは、突如現れた怪獣、ラドンによって破壊されたはずの街で繰り広げられるラドン・マーケティングの描写である。ラドンまんじゅうにラドンTシャツ、極め付けは「ようこそラドンの町」なる看板まで、ラドンが生み出した恐怖や喪失は計り知れないのに、それでもそこに生きている人はその特別感に期待する。ラドンの死骸が海外の博物館から高値で買い付けられると沸き立ってしまう。
飲食店の時間短縮要請が出た時、近所の焼き鳥屋の看板に「コロナ給付金還元!ドリンクサービス」の文字が踊っていたことを思い出す。
どんなに異常事態でも、どんなに傷ついても、わたしたちのからだに染み付いた日常を取り払うことはできなくて、異常事態も傷もえいやと生活の中に取り込んでしまう。
残酷な因果の中にあったとしても、たぶんわたしはそこに生活を見つけて、寝て起きて笑うしかないんだろうな、と思う。
そして薄々気づいていたけれど円城塔はかわいいを描くのがうまい、なんかペロ2とかメイちゃんはもちろん、登場人物みんなkawaii。今後はSF考証だけでなくかわいい考証もしませんか?
あ、しませんよね。